重度の食中毒を起こす腸管出血性大腸菌O157の無毒化に成功 ~腸管出血性大腸菌感染症の予防?治療法の発展に向けて~
本学大学院医学系研究科細菌学講座の平川秀忠准教授らの研究グループは、同医学系研究科生体防御学講座の神谷亘教授、鈴江一友講師と株式会社クレハとの共同研究により、腸管出血性大腸菌O157の無毒化に成功しましたので、お知らせします。
本研究成果は、5月6日に国際雑誌『Frontiers in Microbiology』にて発表されました。
本研究を足がかりとして、腸管出血性大腸菌感染症の予防?治療法の確立の可能性や、薬剤耐性菌感染症に対する新たな治療オプションとしての適用につながることが期待されます。
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業および、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) 新興?再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(22fk0108604h0901) による支援を受けて行われました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
本件のポイント
- 腸管出血性大腸菌O157(以下、O157)に感染すると、重度の下痢に加え、しばしば急性腎不全や急性脳症を併発し、重症化することが知られています。現在、O157 による感染症の重症化を予防、根本的に治療できる方法は確立されていません。
- 本研究では、「マクロ孔をもつ多孔質炭素」を用いることで、O157 が産生するベロ毒素(志賀毒素)や3型分泌タンパク質と呼ばれる病原性タンパクを吸着し無毒化することに成功しました。
- O157 感染症の代替モデルであるシトロバクター菌を用いてマウス体内における本多孔質炭素の効果を評価したところ、本多孔質炭素を経口投与したマウスは、シトロバクター菌に対して抵抗性を示すことを明らかにしました。
- 一方で、本多孔質炭素を投与したマウスでは、消化管をはじめとして異常は見られず、またヒトの大腸細胞や乳酸菌などの善玉菌の生育にも悪影響を与えませんでした。
以上の結果から、多孔質炭素を用いたO157 感染症の新たな予防法、治療法の確立につながることが期待できます。
プレスリリース
重度の食中毒を起こす腸管出血性大腸菌O157の無毒化に成功 ~腸管出血性大腸菌感染症の予防?治療法の発展に向けて~
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